――濃度は?
福士教授 林野庁が昨年末に福島などの山間部で調査(注3)したところ、最大で雄花1キログラム当たり25万3000ベクレルが検出されました。私が昨年12月に奥多摩のスギ林で独自調査をしたら、最大で同201・4ベクレルを検出しました。
――その線量は高い?吸い込んだ場合、人体への影響は?
福士教授 たとえ25万3000ベクレルの花粉を吸引しても被ばく量は成人で毎時0・000192マイクロシーベルト。雄花から花粉にセシウムが移る過程で線量は下がるので、実際に飛散する花粉は限りなく0に近い線量になります。まず人体への影響はないでしょう。
――とはいえ、再び町中にセシウムが舞うことには違いない?
茨城大学北和之教授(大気環境科学) 大気中の1立方メートル当たりの放射線濃度が0・001~0・003ベクレル程度まで上がる地域が出るかもしれません。これは原発事故から2カ月後に原発から100~200キロ離れた北関東や東北南部で計測された数値と同レベル。決して高い数値ではありません。
――危険性はない?
北教授 危険性が全くないとは言い切れません。風向きや降雨などの気象条件次第でセシウム花粉が局所的に集まってしまうかもしれません。そうなれば新たなホットスポットができる可能性もあります。
――危険性を訴える専門家も多いようだが?
京都大学原子炉実験所小出裕章助教(原子核工学) 放射線に被ばくするというのは、それが100ミリシーベルトでも1マイクロシーベルトでも危険が伴い、安全なレベルというものはありません。特に内部被ばく(注4)は危険です。子供は成人より放射性物質への感受性が10倍ぐらい強いので用心が必要。また、福島だけではなく全国的に注意が必要です。
――吸い込むと内部被ばくのほかに危険は?
琉球大学矢ケ崎克馬名誉教授(物性物理学) 放射線は「分子切断」という生命の機能そのものを弱める基本作用があります。鼻の粘膜の分子が切られて毛細血管が傷ついたりすれば、花粉への免疫力が低下するでしょう。セシウム花粉を吸い込めば、花粉症の症状が悪化したり、今まで花粉症にならなかった人が花粉症になることもありえます。
――対策は?
小出助教 マスクをすることです。花粉症ではない人もマスクをした方がいいです。 福士教授 心配な人は花粉用のマスクをしてください。セシウムは花粉に取り込まれているので花粉を吸い込まなければセシウムも吸引しなくてすみます。
――市販のマスクで大丈夫?
東京大学アイソトープ総合センター桧垣正吾助教(放射化学) スギ花粉の大きさは1粒約30マイクロメートル。市販のマスクは約3マイクロメートルの粒子の侵入を防げます。実験でも放射性ヨウ素は3分の1でしたが、セシウムは100%防げました。
”- セシウム花粉 人体への影響ないが…症状なくてもマスクを ― スポニチ Sponichi Annex 社会 (via burnworks)