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" 「ちょっと考えることがありましてね、部下を飲みに誘ったんです。そしたら『それって業務命令ですか?』と聞かれました。そのひと言がショックで。私はただ、部下と飲みたくなって誘っただけだったのに……。何だか..."

 「ちょっと考えることがありましてね、部下を飲みに誘ったんです。そしたら『それって業務命令ですか?』と聞かれました。そのひと言がショックで。私はただ、部下と飲みたくなって誘っただけだったのに……。何だか急にむなしくなってしまいました」

 そこで、この男性は自分がどういうリーダーだったか、自分の職場がどうなっているかを改めてよく考えてみたという。すると自分は常に部下の尻をたたいてばかりいたことに気づいた。

 勤務中に雑談をする部下がいると、露骨に『無駄話をするヒマがあれば、仕事しろ!』という顔をしていたし、数字ばかりを見て部下を評価して、その部下がお客さんに接している態度や、部下がしている工夫など見ようともしなかったと振り返る。

 自分だってトップから「生産性を上げろ!」「早く結果を出せ!」と言われることにストレスを感じていたのに、いつの間にか全く同じプレッシャーを部下にかけていたのである。

 「その結果、一杯部下と飲みたいと思っても、ついてくる部下もいなくなった。何だか無性にむなしくなりましてね。俺は何をやっていたんだろう、って。それで、それまでずっとのしかかっていた重しが急に取れまして、『もう生産性にこだわるのはやめよう。一杯行こうかと部下と上司が言い合えるような職場にしよう』と決めました」

 それからは自分がやりたいように、部下と無駄話をしたり、部下がやったことを褒めたり、声をかけたり、自分が“人”として、単純に心地良いと感じる働き方を徹底したという。

 「当然、トップからの評価は下がりますから、それ以上、上に行くこともありませんでしたけど。ただ、職場が変わったんです。部下たちが生き生きと働くようになった。そのことを感じられるようになったのは、つい最近ですから、一年以上かかったわけですけど、部下たちが楽しそうに働いている」

 「で、来月、地方に転勤することになりました。完全にラインから外されたんです。そしたら部下たちが、泣いてくれたんですよ。部長のおかげで仕事が面白くなりましたって。心からうれしかった」

 もし、会社がこの男性を異動させずにいれば、恐らくこの部署の生産性は高まったはずだ。その答えを見届ける「時間」さえも、会社は我慢もできなかったのだ。もったいない。実にもったいない。ホントにもったいない。



- 社員も会社も不幸にする「生産性向上!」という呪文:日経ビジネスオンライン (via mikke)

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